ZORN『My Life』は聞かずに死ぬのもったいない。

 

今回は、私がZORNにハマるきっかけとなった1曲、『My Life』について解説していきたいと思います。

※爆泣必至の為、ティッシュかハンカチをご用意ください。

 

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J-HIPHOP界の歴史に残る1曲『My Life』

 

「ヒップホップ」と聞くと、皆さんはどういうイメージをお持ちでしょうか。

 

「俺はヒップホップ生まれヒップホップ育ち 悪そうな奴は大体友達」

とか

「金!女!大麻!ヒャッホイ!!!」

とかそんな感じをイメージする方が多いのではないでしょうか。

 

最近のヒップホップを聞いている方はむしろそんなイメージを持たれていない方もいらっしゃるとは思いますが、少なくとも私が中学生くらいの頃までは、そういったステレオタイプのラッパーが多かったような気がします。

 

ヒップホップの基本がセルフボースティング(自分を誇らしげに表現すること)である以上、そういった曲が多くなるのはある種必然とも言えます。

 

そんな中、「ありのままを包み隠さず曲で表現し、そんなありのままの自分を誇る」というスタンスをJ-HIPHOP界に持ち込み浸透させたのは、何を隠そうZORNの『My Life』ではないかと思っています。

(もちろん、昔もそういうラッパーはいましたが、今ほど市民権を得られていなかったスタンスだと思います)

 

ZORNは『My Life』において、1番で「仕事」、2番で「家庭」、3番で「ラッパーとしての自分」を歌っています。

 

ZORNは週6で叔父が経営する塗装工の現場仕事をしていますが、それこそ一昔前は、ラッパーが仕事について歌うってことは恥ずかしいことである、的な文化がありました。「ラップで飯食えないなんてラッパーじゃない。ラップで稼いで飯食ってこそかっこいいラッパーだ」という考えが根強かったからです。

 

そんな中で、仕事や家庭を歌うっていうことは、「ありのままの自分を肯定する、最大のセルフボースティングであり、それこそがヒップホップである」という表明でもあったわけです。かっこよすぎますね。鼻血が出ます。(出ました。)

 

だからこそZORNはとあるインタビューで、「サラリーマンが1番サバイブしていると思う。自分の為に、家族の為に、毎日乗りたくもない満員電車に揺られ、下げたくもない頭を下げ、それでも歯を食いしばって毎日を生きているのがかっこいい。」という旨の発言をしています。

 

これには私も食らいました。大学生の時にこのインタビューを読みましたが、社会人になり、余計にこの言葉が身に沁みるようになりましたし、父親と母親に本当の意味で感謝ができるようにもなりました。

 

私の価値観や人格を形成するのに、ZORNは影響を多分に与えてくれました。

 

ありのままの『My Life』を歌う ーリリック解説

 

繰り返しの生活〔ea〕

目をこすり開ける玄関〔ea〕

朝から晩〔aaaaan〕

ただ働く〔aaaaau〕

月から土までまた変わらず〔aaaaau〕

いつも汚れた作業着〔aooi〕

一服するタバコと缶コーヒー〔aooi〕

思い通りにいかぬ日常に〔iiooi〕

ふて腐れに似た憤り〔iiooi〕

また言い聞かす これはまだ序章〔ou〕

高く飛び上がるためにある助走〔ou〕

昼休憩は嫁の弁当〔ou〕

俺より朝早くありがとう〔ou〕

冬は寒い〔aii〕 夏は暑い〔aii〕

それでも夕焼けは素晴らしい〔aii〕

地味で泥臭い毎日〔aiii〕

実家で野菜もらう帰り道〔aeiii〕

 

(※hook 1)

大体〔aiai〕こんなもんさMy Life〔aiai〕

昨日も今日もまぁ変わりない〔aiai〕

何にも良いことなんてない〔ai〕

でも言葉に〔ai〕できない〔ai〕謝に愛〔aiai〕

信じたいものを信じたい〔iai〕

守りたいものを守りたい〔iai〕

題名なんてついてない日〔eaii〕

握る小さな手とMIC〔eaii〕

 

先ほど説明した通り、1番は「仕事」をテーマに歌っています。曲として聞かずに詩として読んでも、情景や状況が鮮明に浮かぶ程にリアルを歌っていますね。

 

私的に感動するポイントがあって、ZORNは過去記事でも書いているように、かなりスキルフルなラッパーなんですね。長くて固い韻なんていくらでも踏めますし、それでいてきっちり意味を通すことができる稀有なスキルの持ち主です。

 

そんなZORNが、そこまで長く固い韻を入れてきていないんです。もちろん、「朝から晩」→「ただ働く」→「また変わらず」とかは流石のスキルなんですけど、そのスキルをこれ見よがしに発揮しようという印象を受けません。

 

この『My Life』という曲は、「韻がどうこう、フローがどうこうよりももっと大事なものがある」という思いが込められた1曲のような気がします。

 

むしろ、韻を踏み倒さなくたって人の心に届くリリックが書けるなら、それは立派なラッパーとしてのスキルですしね。

 

繰り返しの生活〔ea〕

くたくたで開ける玄関〔ea〕

娘たちの声「おかえり」〔oaei〕

あったかいご飯 またおかわり〔oaai〕

テレビを消して話をしよう

学校のこと〔oo〕 保育園のこと〔oo〕

誰が好きとか〔oa〕 何が嫌とか〔oa〕

将来は何になりたいとか〔oa〕

誕生日に手紙をくれたな〔ueaa〕

下手な似顔絵もくれたな〔ueaa〕

どうもありがとう〔ouoaiao〕

本当ありがとう〔onoaiao〕

別に悪くない 今日も明日も〔ouoaiao〕

「お前らの為」とは思わねぇ〔oae〕

そうじゃなくて「お前らのおかげ〔oae〕

なんつーか〔uua〕 生きる意味を痛感〔uua〕

心が揺さぶられる瞬間〔una〕

 

(※hook 1)

 

2番は「家庭」についてですね。1番に続き、ありふれた父親としての自分をありのままに歌っています。

 

ZORNには3人の娘がいます。ちなみに上の2人の娘は奥さんの連れ子ですが、これについては『Letter』というこれもまた爆泣必至の曲で歌っていますので近々記事にします。

 

なんかもう全部パンチラインですよね。

「「お前らの為」とは思わねぇ そうじゃなくて「お前らのおかげ」」

っていつか奥さんや子どもができたら言ってあげたいし、そういう謙虚さと感謝を常に持てるような人間でありたいと思います。

 

繰り返しの生活〔ea〕

カッコつけ開ける玄関〔ea〕

いつもと同じWay〔ue〕

でも行き先はステージの上〔ue〕

金ピカのチェーンなんて持ってない〔oeai〕

高級車にだって乗ってない〔oeai〕

でもここに誇り持ってたい〔oeai〕

少年のよう夢を追ってたい〔oeai〕

踏んだり蹴ったり散々な目〔ananae〕

諦めることは簡単だぜ〔ananae〕

ガンガン前〔ananae〕 人生1回〔eiai〕

生きていたい〔eiai〕 ただ精一杯〔eiai〕

60Wの栄光さ〔eioua〕

全然金なくても成功者〔eioua〕

一本〔io〕道を行こう〔io〕

洗濯物干すのもHIPHOP〔io〕

 

(hook 2)

大体〔aiai〕こんなもんさMy Life〔aiai〕

昨日も今日もまぁ変わりない〔aiai〕

何にも良いことなんてない〔ai〕

でも言葉に〔ai〕できない〔ai〕謝に愛〔aiai〕

歌いたいことを歌いたい〔aiai〕

伝えたいことを伝えたい〔ai〕

題名なんてついてない日〔eai

握る小さな手とMIC〔eai

 

笑おう〔aaou〕 ほんのひと時を〔iooio〕 

咲かそう〔aaou〕 日々に彩りを〔iooio〕

鳴らそう〔aaou〕 好きな音楽を

上がろう〔aaou〕 上がろう〔aaou〕

今週日曜〔iiou〕どこに行こう〔iiou〕

その日のため6日を生きよう〔iiou〕

誰かの幸を願えたら〔eaa

きっともうこれ以上はねぇんだな〔eaa

 

3番は「ラッパーとしての自分」を歌います。

 

この曲の構成ってすごく良くできていると思っていて、私みたいなサラリーマンのように「仕事」も取り組んでいるし、「家庭」も持っている。それを人生のベースとしつつ、それでも自分の夢を追い続けることの意味・大切さを説いているような気がします。

 

家族の為に歯を食いしばって仕事を頑張りながら夢を追うことで、また大切な誰かの幸せも願えるようになる。そしてそれ以上のことなんてないという事に気付ける。

 

こんな素晴らしい曲、聞かずに死ねますか?無理無理。

 

ZORNも「洗濯物干すのもHIPHOP」と言ってますし、そろそろ洗濯でもします。

 

髪切ったらすごく涼しいです。

 

ZORN『Rep (Remix) feat. NORIKIYO』が芸術すぎる。

 

 

先日、ZORNの『Rep feat. MACCHO』が大変なことになってる記事を書きましたが、

 

fukayu-raplog.hatenablog.com

 

これのRemixである『Rep (Remix) feat. NORIKIYO』が更にとんでもない事になっています。

 

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稀代のリリシスト NORIKIYO

 

NORIKIYOといえば、相模原をレペゼンするラッパーです。神奈川出身者として私は漏れなく大好きです。大好物です。一本筋が通っていて、リリックがいちいちかっこいいんですよね。

 

NORIKIYOといえば、とあるイベントでのZEEBRAの態度を受けて、「GO HOME」という痛烈なdis曲を出している事が有名ですね。もちろん、世代的にNORIKIYOがZEEBRAをリスペクトしていないワケがないんですよ。がっつり影響を受けている世代だと思いますし。むしろリスペクトしているからこそ、「あんたには常にイケててもらわなきゃ困るぜ、しっかり頼むよ」っていう気持ちから生まれたdis曲です。

 

ちなみにZEEBRAはこのdisを受けて、Twitterで「NORIKIYOの言う通りだねごめんねごめんね〜」

 

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 と呟くのみだった為、余計にNORIKIYOはブチギレています。ラッパー同士のdisは、ラッパーであるが故に音源でやり合うのが正義であるという通説がありますし、私もそう思います。それを曲でアンサーせずにツイートだけで済ませちゃうもんだから、そりゃあ怒りますよね。あのガンジーでも助走つけてぶん殴ります。一応ZEEBRAは「次のアルバムでアンサー返しまーす」とはツイートしているので、アンサー返す気がないわけではない感じもしますが、最近は専ら裏方に回っており、「アルバムなんて本当に出すんか?」と個人的には思っていますけど、、、。

 

兎にも角にもNORIKIYOは、筋の通らない事は相手が誰であろうと徹底して認めない、っていうスタンスを貫いており、それでいて音源がしっかりかっこいい「スーパーイケイケクールMC」です。

 

 

相模原のMC NORIKIYOのRep ーリリック解説

 

(※hook 1)

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

どこからでも火を起こせる〔ioooe〕

仲間たちはWeedとコケイン〔ioooe〕

俺はいらねぇBeatよこせ〔ioooe〕

Represent Represent Represent Represent

Represent Represent Represent Represent

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

できないラッパー死亡届〔ioooe〕

 

(NORIKIYO)

職業不詳のツレとたまる近所〔auio〕

真面目にやるとか無理だろRackしよう〔auio〕

0時過ぎは巡回あるからパスしよう〔auio〕

腹にスプレー缶隠し持〔auio〕ってしてたドロケイ

バックシート〔auio〕Stashした〔auia〕

パケと鼻の中は真っ白〔aio〕

そんな私の〔auio〕過去を3,4行〔anio〕

Flowすりゃ今は金になっちゃう作詞業〔auio〕

 

はい、かっこいい。(かっこいい)

 

〔auio〕で終始踏んでます。「隠し持って」のところで踏み所を外してくるあたりのセンスが大迫くらいハンパじゃない。

 

「ドロケイ」って地域によって名称が変わりますよね。「ケイドロ」だったりしますよね。そういう、地域によって呼び方が異なるようなローカル性の高いワードを敢えて入れているあたりも、『Rep』という曲だからこそであって、めちゃめちゃかっこいいわけです。

 

ラクガキとか違法ドラッグとかやってたけど、そんな過去の話ですら、3,4行分くらいパパッとBeatに乗せるだけで稼げちゃうアーティストになったぜ」ってことです。うん。たまらん。

 

最初はしょうがねぇ 真似事 形から〔aaiaa〕

まぁ良いんじゃねぇ? お前がもし二十歳なら〔aaiaa〕

But そういう奴をこう言うんだよ「ダサいラッパー」〔aaiaa〕

にはそろそろ飽きちゃったろ 待たしたな〔aaiaa〕

まさか隠すなよ パケは股下にゃ〔aaiaa〕

ポリも馬鹿じゃねぇ知ってんぜ探し方aaiaa〕

バレりゃ高樹沙耶〔aaiaa〕みたく犯罪者だ〔aaiaa〕

今夜も赤燈が通る相模原〔aaiaa〕

 

 

(※hook 2)

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

どこからでも火を起こせる〔ioooe〕

昔はしてたリアルドロケイ〔iauooe〕

ツレのTagを見るいたるトコで〔iauooe〕

Represent Represent Represent Represent

Represent Represent Represent Represent

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

できないラッパー死亡届〔ioooe〕

 

ここ、もう激アツ中の激アツです。

 

「形から」が来た瞬間に「「相模原」がくる!必ず来る!アイツはこの状況で来ないなんてヤワな奴じゃねぇ!どこだ!どこで来る!」ってなりますよね、もちろん。

 

NORIKIYOが地元を誇る『Rep』にリリックを乗せるわけですから、当然来るだろう、と。しかし、NORIKIYOさんは生粋のドSなので、焦らして焦らしてhook直前の一番アガる所に持ってきます。

 

このヘッズ泣かせ!天才!変態!

 

これ、LIVEだったらこのhook前マジでアガるんだろうなっていうのが容易に想像できます。

 

言わずもがなですが、意味を通しながら〔aaiaa〕で終始踏み続けるっていうだけでもかなりのスキルです。 

 

そしてこのhookですよ。原曲と韻を若干変えてきているのがなんともオシャレ。これぞRemix!そのままhook歌うのももちろんありなんですけど、せっかくRemixするからには、原曲へのリスペクトを込めつつオリジナリティも発揮してほしいですが、見事に叶えてくれました。完璧です。星5つです。

 

このhookでの「リアルドロケイ」によって、1verse目の「ドロケイ」って遊びじゃなくてやっぱりガチだったんですね、、、!という事に気付かされて、また1verse目が聞きたくなる、という無限ループ地獄を生み出しています。

 

税関突破5,000錠持ってきたMDMA〔euiee〕

もらったギャラ2週間で全部消えて〔euiee〕

”AREA AREA"かけ寝る家で〔euiee〕

こう思った「俺もここからやったろう」ってな

Beatも自分でさ作っては作詞〔aaui〕

相な暮らしでも楊枝は高くし〔aaui〕

い訳の類と愚痴は吐かずに〔aaui〕

ーンの流行りじゃねぇ色褪せねぇ〔aui〕

囚われたまま憧れに〔aoaei〕

自分の道はてめぇで I gonna make it〔aoaei〕

入りゃしねぇんだよもう雑魚は目にaoaei〕

2度と俺〔ioooe〕は誰にも雇われaoae〕ねぇ

米軍キャンプ以外見所ねぇ〔ioooe〕

SDPが居る 見ろその目ioooe〕

10年経ってみりゃ見事これ〔ioooe〕

入りきらねぇ ほら見ろよウォレット 〔ioooe〕

 

"AREA AREA"は言わずもがなMACCHO(OZROSAURUS)の代表曲で、「潮の吹く港から俺もやったろう」というリリックをここでサンプリングしています。テクい。

 

更には、MACCHOの武器であるアクセントでリズムを作る手法を使う事でも、MACCHOへのリスペクトを表現しています。

(「Beat」→「相」→「い訳」→「ーン」→「作」)

ズルイよNORIKIYO先生。 

 

その後の〔aoaei〕から〔ioooe〕への韻の移り変わりのまぁなんとオシャレなこと。

 

 

『Rep (Remix) feat. NORIKIYO』は芸術だった

 

いかがでしたでしょうか。もうこれは芸術だと思っています。原曲へのリスペクトとオリジナリティを、やりすぎでもなく嫌らしくもなくクールに伝えきっていて、更にはリリックは当然イケてる、フローも100点満点ときたら、芸術と呼ばずして何と呼びましょう。

 

芸術といえば、バンクシー展行きたいと思っていたところです。横浜と大阪でやるみたいなので、どっちも制覇してやろうと思います。

 

singman『「≠」〜ノットイコール〜』歌詞全文

 

今回はAmazonプライム・ビデオの「千鳥のニッポンハッピーチャンネル」内のトレンディドラマ「ロングロード」の主題歌である『「≠」〜ノットイコール〜』の歌詞が頭から離れなくなってしまったので記しておきます。

 

耳コピなので多少の誤りがあるかと思いますがご容赦願います。

※ロングロード面白いのでまだ見ていない方は是非見てみてください。

 

 

 

終電車寝過ごし 2つ隣の終着駅

ホームの端 フェンス越し 寝ぼけ眼のレディ

 

雲のないBlack & Gold 光から隠れよう

帰りのファミレス 目的のレジ 30分だけの僕の女神

 

出逢わなければ良かったのかな 同じ数引いても0にはならない

僕の気なんて知らずに笑う君は右から現れた

 

キャンパスの噂だろ 知らなかったと言えばいいかい

黄昏に咲く馬鹿の花 授業フケてアルバイト

 

茜空の雲間に差し込んだロンリーブルー

気付かないフリさせてお願い ピエロ演じる僕のエレジー

 

出逢わなければ良かったのかな 2本線引いても消えない想い

そう僕はいつも戯けて笑う 君の右にはヤツがいる

 

好きだったっけ 本当は好きじゃなかった

いややっぱり好きだと 100年経っても白紙のまま

 

出逢わなければ良かったのかな 同じ数引いても0にはならない

僕の気なんて知らずに笑う君は右から現れた

 

出逢わなければ良かったのかな 君との未来しか今は要らない

0のはずの答えが切なく僕の右から現れた

 

 

「ロングロード」を見ながらただ何となく聞いていると、

 

「なんだよこの曲おもろすぎww(腹筋大崩壊)」

 

くらいしか思わないのですが、改めて歌詞をよく聞いてみると

 

「意外と深ぃぢゃん。。リスカしょ。。(涙腺特大決壊)」

 

となりますね。

 

コロナの影響で家で過ごす時間が増えているかと思いますが、「千鳥の日本ハッピーチャンネル」はおうち時間に最適です。

 

 

fukayu-raplog.hatenablog.com

 

 

最近隣の部屋の住人が夜中デリヘル呼んでおりとてもうるさいので、『「≠」〜ノットイコール〜』爆音で対抗することに決めました。

 

 

ZORN『Rep feat. MACCHO』が大変なことになってる。

 

 

記念すべき第1回目は、ZORN『Rep feat. MACCHO』についてご紹介していきたいと思います。

 

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葛飾×横浜の最強タッグ降臨

 

まず曲自体に入る前に、この組合せがヤバい(ヤバい)です。

 

ZORNはそりゃもちろん大好きです。葛飾区で育ち、少年院からMCバトルで名前をあげて音源も出して、般若のようなビッグネームに声をかけてもらって昭和レコードからイケてる音源をバンバン出したと思ったら、「仲間達だけでどこまでできるか挑戦したい」つって独立。もうかっこよすぎます。そりゃ好きになります。好きにならざるを得ません。好きにナラザールスリザリンです。

 

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そこにこのMACCHOと来た。これはブチ上がらずにはいられません。MACCHOは横浜出身でOZROSAURUSのMC。J-HIPHOP界ではレジェンド級の存在。神奈川生まれ神奈川育ちの私は少年期の頃からもれなく食らってました。『ROLLIN'045』とか『Rhyme&Blues』とか一生聞いてました。

 

ここ数年大好きなラッパーが、昔から聞いてた超レジェンドと音源を出したわけですから、もうよだれが止まりません。よだれかけください。

 

 

最強タッグが地元を歌う ーリリック解説

 

(※hook 1)

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

どこからでも火を起こせる〔ioooe〕

仲間たちはWeedとコケイン〔ioooe〕

俺はいらねぇBeatよこせ〔ioooe〕

Represent Represent Represent Represent

Represent Represent Represent Represent

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

できないラッパー死亡届〔ioooe〕

 

 hookからヤバすぎる(ヤバすぎる)。〔ioooe〕で踏み続けてきっちり意味も通す。「仲間達は違法薬物に手を出したりもしているけど、俺はそういうのはもう卒業した。俺はラッパーだから、そんなものよりBeatがあればいい。自分を育んだ地元を誇れない奴はラッパーとして死んでるぜ。」という感じですね。シビれる。

 

ZORN

バカ丸出しの〔aaauaio〕

やんちゃな13,4,5〔aaauaio〕

歌広〔aio〕でオジロ〔io〕

ラッパーがスーパーヒーロー〔aaauaio〕

変わらずな進路〔aaauaio〕

約何年経ったろう〔auaeaao〕

パクられ〔auae〕刑務所で泣くなんてやだろ〔auaeaao〕

 

いやもう早速ずっと踏んでますね。踏み倒してます。前半は〔aaauaio〕で踏んでからの後半〔auaeaao〕への移行もさすが。リリックの意味も少年院上がりのZORNの口から出るから説得力を持ちます。本曲フィーチャリングのMACCHOのサンプリング(OZROSAURUS『AREA AREA』)をしっかり入れ込んできたりと、かなりリスペクトが伺えるところもいい。

 

 

In My Hood〔iaiu〕

やっぱティンバーランドブーツ〔iaau〕

都会じゃ生まれないいなたいクール〔iaaiu〕

俺を杉山って呼ぶみんながいる〔iaaiu〕

駄菓子屋のおばちゃんも見に来たライブ〔iaaiu〕

黄色い総武線〔iioioue〕

ビートにボールペン〔iioioue〕

一生一直線〔iioioue〕

B-Boyの夢〔iioioue〕

新小岩〔iioi〕から

シンフォニーのステージ〔iioioue〕

娘をリムジンのシートに乗っける〔iioioue〕

ハナから持ってた金じゃ買えないもの〔aeaioo〕

今は三世代で海外旅行〔aiaioo〕

最愛の嫁〔aiaioo〕にもサプライズ〔auaiu〕

Thug Life〔auaiu〕じゃなくHug Life〔auaiu〕

 

ここでもZORNのライムは止まりません。RIP SLYMEとかをイメージしてみると分かりやすいかもしれないですが、

 

「ハデな化 俺と決 夏のパッション Pay Attention」 

 

とかってケツで2文字踏みですよね。これはこれでリズムを産むためのテクニックですので、どちらが優れているとかはないと思っているんですけど、単純に何か言葉で韻を踏もうと思った時に長い言葉で韻を踏めるっていうのは、相当なボキャブラリーがないとできないと思うんですよね。

 

ZORNボキャブラリーの豊富さ・独特さが他のラッパーに対して群を抜いていると思います。意味を通しながら長い言葉で多くの韻を踏み続け、しかも聞き心地がいい、っていうのはなかなか真似できないと思います。

 

(MACCHO)

ち止〔ioa〕ってもまた歩き始める

後ろ〔ioa〕んて見ずあの時から自負〔iu〕

ジロ〔ioe〕ッズ息づく根強く一途〔iu〕

街の〔ioe〕色みてぇなもん土地の一部〔iu〕

 

MACCHOのリリックも、「この人が言うからカッコいい!」というものですね。

 

1990年代からずっとJ-HIPHOPのシーンで活躍し続け、レジェンドであるにもかかわらず現役バリバリで戦ってるからこそ、説得力も人一倍です。「横浜には俺のヘッズがわんさかいて、もはや横浜の一部みてぇなもんだぜ」なんて横浜でMACCHO以外誰も吐けないリリックです。

 

しかも、ZORNとはまた違うライムの手法なのが分かりますでしょうか。

 

ZORNは小節のケツで分かりやすく韻を踏むのに対して、MACCHOの踏み方は変態的です。頭韻と脚韻を織り交ぜて複雑な構成ですが、フローが上手いのでかなり聞きやすいです。アクセントの使い方が絶妙。変態です。

 

MACCHOは何度かLIVEで聞いたことがありますが、LIVEが最もかっこいいラッパーの内の1人だと思います。ただ少し玄人向けというか、ライムもフローも変態的なうまさなので、好き嫌いは分かれる感じがしますね。

 

元〔oo〕暮らすトコ〔oo〕

ルーツ スタイル スタンス無きゃただの音〔oo〕

〔en〕部が〔en〕とか〔en〕なら

ートにとかフローだけ乗せても退

ラマが見えてこねぇんだよ

色んな色のベイスターズキャップ

Assassyn Jeanz ヤンキーが着てた

仲間意識〔aaaiii〕 高まる士気が〔aaauiia〕

昔からイケてたヨコハマのオリジナル〔iia〕

ばあちゃんが言ってた じいちゃんとの出会いは〔ia〕

PX フェンスの向こうのアメリカ〔ia〕

のコーラ中〔aa〕

ーナッツ入れ飲み込む泡〔aa〕

面濁る元にゃ大岡川〔aa〕

 

言ってることがいちいち重く、かっこいいです。

 

ここのラスト4小節の変態的スキルはもう圧巻です。アクセントを持たせたフローでリズムを産む感じはMACCHO特有の歌い方で、聞いててアガります。

 

ちなみに「Assassyn Jeans」ってのはMACCHOがプロデュースしたファッションブランドです。 ベイスターズキャップと自らのブランドを並列させる辺りにも地元を背負って立つ自負とか誇りを感じます。

 

(※hook 2)

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

どこからでも火を起こせる〔ioooe〕

仲間たちはSピードにコデイン〔ioooe〕

俺はいらねぇWeedよこせ〔ioooe〕

Represent Represent Represent Represent

Represent Represent Represent Represent

街を歌い地元をRep〔ioooe〕

できないラッパー死亡届〔ioooe〕

 

MACCHOは大麻肯定派なので、ZORNのhookと一部歌詞が入れ替わってます。もちろん韻は同じように踏んだままです。こういうところもオシャレだし、「嘘は歌わない」というHIPHOPのスタイルが出ていてカッコいいです。

 

ZORN

俺の原点はサイファー〔eeaaia〕

あとイケイケな毎夜〔eeaaia〕

地位とか名声やダイヤ〔eeaaia〕

よりも経験が財産〔eeaaia〕

バースに訂正はないな〔eeaaia〕

いつもテメーがライバル〔eeaaia〕

まだ鮮明な会話〔eeaaia〕

いつかぜってーが今〔eeaaia〕

若手 ベテラン 皆もろジェラシー〔iaooeai〕

葛飾区に来な おもてなし〔iaooeai〕する

俺は滝川クリステル〔aiaauiueu〕

でもとしやがマリファナ売りつける〔aiaauiueu〕

 

 

これ全部パンチラインですね。7~9文字で常に踏み続けてもちろん意味も通す。これを1曲通してずっとやり続けているわけです。すごすぎる。

 

「おもてなし」から「滝川クリステル」に持っていく辺りもオシャレ。滝川クリステルもまさか「マリファナ売りつける」で踏まれるとは思っていなかったでしょう。 

 

浜の怪獣はILL〔iu〕 存在に在り方がある

てめぇの身の丈分 媚びず気高くいる〔iu〕

大量にいいの〔iio〕よこせ 俺のツレの分も

別に鼻ちゃん無くてもいい Weed〔iio〕にL

ップごときで人の心動かせる

手に言ってってたレペゼン

いてた程層なモンじゃねぇが

でもしてんだ街 したいものはLOVE

 

アクセント使いがここでもキマってます。「愛してんだ街 返したいものはLOVE」の1行は、この曲の全てが詰まっているような超絶パンチラインです。

 

 

Representとは

 

HIPHOPのスピリットの基本は「セルフボースティング」なんですね。

 

簡単に言うと、「俺はこんなにラップで稼いだんだぜ!」とか「俺のラップかっこいいだろ!」っていうアピールです。この辺は別記事でHIPHOPの歴史とかをまとめようかと思っていますが、HIPHOPは基本的に「俺イケてるだろ」なんです。MCバトルとかダンスバトルはその最たる例として分かりやすいかもしれません。

 

ただ、自分をただ大きく見せればいいのかと言われると、それは違います。等身大の自分より誇張して自分を語る事はダサいです。説得力がありませんし、ハッキリ言って嘘になってしまいますから。説得力を持った形で、自分のかっこよさをアピールするのがイケてるわけですね。

 

んで、「等身大の自分に誇りを持つ」という事は「等身大の自分を形成したもの(=ルーツ)にも敬意を払い誇りを持つ」という事とほぼ同義です。その為、ラッパーは大抵、自分の地元を誇っているわけですね。

 

そういう背景を考えると、少年院からバトルMCを経て一端のアーティストになったZORNが地元を歌っている事自体がとてもかっこいいし、横浜を代表するMACCHOと曲を出してるなんて考えたらもう涙ものです。

 

このブログを書いている今も私のMacBookはビショビショです。拭こうと思ったらティッシュが無かったので買ってきます。